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9/21(土)福島被災地スタディツアーへの参加 ~語り部さんのお話し①「どうしたら命の大切さを分かってもらえるのか」~

シンガポールに住んでいた頃、日系スーパーへ行った帰りに乗ったタクシーの運転手から「福島の農産物は危ないから食べない方がいい」と言われたり、勤めていたローカル校の非常勤講師仲間の香港人から「福島で取れた農産物は安全なのか?」といったこと聞かれたりした。日本のニュースや新聞では放射線量をきちんと測って安全なものを出荷しているとは知っていたものの、私は外国人が納得できる説明をするだけの情報を持ち合わせておらず、自分の言葉でうまく説明することができなかった。そしてこう思った。『日本に帰ったら被災地を実際に見に行って、自分の言葉できちんと答えられるようになろう』。

福島の被災地スタディツアーにはいくつかコースがあり、今回我々は「いわきの漁業/薄磯地区コース」に参加することにした。このコースはいわきの漁業の現状や水産物の検査状況の視察、その他現在の復興状況、被災された方の当時の体験などをお聞きするというもの。参加費は一人2,000円で、朝10:30頃から15:50頃までの間、小型のマイクロバスでいくつかの被災地に関連する場所を巡る。

(こちらのサイトにコースや日程、申し込み方法などが記載)

iwaki-revival.com

まず始めに向かうのは、小名浜魚市場。そこまでの移動中、バスの中で観光協会のガイドさんが色々と説明してくださる。「いわき市の震度は6弱でした。現在は仮設住宅もほとんどなくなり、被災者は復興公営住宅に移られています」ここで同乗されていた語り部の方に当時の体験談をお話し頂く。「14:46に揺れ出しました。いつも通りすぐにおさまるだろうと思っていたら、ずっと揺れている。実際はもっと短かったのかもしれないけれど、私には10分くらいに感じられました。戸棚のドアは開いて大切にしていた瀬戸物は床に落ち、家の中が説明できないほどぐちゃぐちゃになりました。」揺れが収まった後、どうすればいいのか分からずしばらく立ち尽くしたのだそう。「電気と水が止まり、四日間小学校に避難しました。空は原発のおかげで灰色です。その後、白河市(いわき市から車で約一時間半)の親戚の家に身を寄せることにしたんですが、ガソリンスタンドは長蛇の列。ガソリンを入れるのに一時間半以上待ちました。白河市に向かっている途中雪が降ってきて、灯りがついている公民館で少し休ませてもらおうとしたら”いわき市の人は入れられない”って言われたんです。原発のニュースを見てね。」なんだかやるせない気持ちになる。

(バスの窓からみた復興公営住宅)

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津波の被害に遭われた別の方の体験も、この方が話してくださった。「地震の後、海の波が沖の方にサーッと引いて行ったそうです。その後9mの黒い壁のようになった波が一気に押し寄せて来て、その方は家に居ながら波にのまれてしまいました。水中をもがいていたら紐が上から垂れて来て、掴んだら助かるかもしれないと思って掴んだら切れた電線で・・・体にビリビリッと電気が走ったそうです。最終的には流れてきた木材を掴んでアップアップしていたら、船が来て助かりました。ただその後5年間くらいは精神に異常をきたして、普通に生活できなくなりました。ちょっとしたことでも怯えるようになって。」周りの方に支えてもらいながら、やっと今まともな生活ができるようになられたそうだ。

(落ち着きを取り戻した海)

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この語り部の方曰く、地震の備えとして準備しておくといい物は①水、②新聞紙(敷いたり、包んだり、体の保温にもなる)、③ごみ袋(敷いたり、ごみを入れたり、雨の時はかぶることができる)、④帽子(頭を守る)だそうだ。さらに震災を通じて感じたこととして、こうもおっしゃられていた。「水道が止まった時、近くの農家に井戸水をもらったり、近所の人と協力して近くの川や山水を汲みに行きました。普段挨拶くらいしかしていませんでしたけれど、この時日頃から近所の方と声を掛け合うことが大切だと知りました。」語り部の方の最後のメッセージ「命を大切にしない犯罪がありますけれど、そういう方にはどうしたら命の大切さを分かってもらえるのか・・・と思います。」を、私はとても重く受け止めた。

~つづく~