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日本茶の旅

今日は静岡県の栃沢にあるお茶農家さんを訪問し、お茶の生産方法を学ぶ。このように茶畑と農家さんを訪問するのは、スリランカ(ヌワラエリヤ)、インド(ダージリン)、中国(杭州)、中国(安渓)に続いて、五か所目となる。

栃沢は静岡駅付近から車で約一時間にある。梅が島方面へ走り、山道なので基本的にくねくねとしている。最後の方なんて恐ろしく狭い道を行かねばならず『絶対一人で来られないなぁ』などと思いながら車に揺られる(今回は数人とマイクロバスで来たのです)。車を降りると辺りは山々に囲まれ、町中よりも空気がひんやりしている。

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茶園に入る前に、一人一袋茶葉を頂く。農家さんが「それ朝摘んだやつだから。みんな暇でしょ?揉み揉みしてて。揉み終わった茶葉は乾燥して、紅茶にしてお渡ししますから」とのことで、演出が粋だなぁと思う。それに気遣いが素晴らしいとも思う。

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みんな手元で茶葉を揉み揉みしながら、茶園を見せて頂く。こちらでは手摘みの高級茶と機械で積むお茶の両方を作っておられる。

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農家の方が色々と説明してくれたのをすごく平たく言うと、年一回しか茶摘みはせず、茶を作るまでには大変手間と時間がかかるということです。他にも茶の味は十人十色で、同じ品種の茶の木でも、作る人、場所、作り方によって、一つとして同じ味の物はできないとのこと。これを聞いて、茶と人間は同じだなぁと思う。人間も誰一人として、同じ人というのはいない。ちなみに今はお茶作りはしていないので、生産工程はビデオで見させて頂きました。

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さて素敵な古民家でお茶を頂く。なんとおしゃれにグラスにお茶を淹れてくださる。「カンパーイ、チーン!てのをやりたくて、グラスにしたんだ」とのこと。何から何まで粋だね!

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このお茶は、大変まろやかで芳醇な香りがする。手で揉み揉みしている茶葉もいい香りがしてきた。

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酒蒸し饅頭もつけてくださいました。お茶の味は濃厚でいて、しかしきつい苦みや渋みを感じさせない大変おいしいお茶だった。三煎目まで飲んだけれど、私は一煎目の独特の風味と味わいが好きです。ちなみに100gで3,000円くらいするとのこと。確かに高級茶だ。

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面白いのは最後に茶葉に塩を一つまみかけて、茶葉を食べること。茶葉はシャキシャキとしていて、塩味が効いて美味しい。茶の味は殆どしないが、何かの葉野菜を食べているよう。今度家でもやってみよう。

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最後にほうじ茶を出してくださった。こちらも香ばしくておいしい。

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この農家さんの話でいくつか印象的なことがあった。それは茶の話というよりも商売が成功する法則のようなもので、①情熱を持って仕事をすること②人と違うことをすること③一見自分の利益にならないようなことでも、人のためにしたことは後で自分に返って来る。だった。そして私が出会った成功者達が口を揃えて「品質の高い仕事を一生懸命すると、口コミで広がってお客さんが自然と来るようになる」と言っていたように、この方も似たようなことをおっしゃられていた。

まずこの農家さんはとにかく”いいお茶を作りたい、いいお茶を作りたい”と繰り返されていて、茶に掛ける情熱が大変に感じられた。そしてそれは茶の味に確実に現れていた。またこの農家さんは珍しくエンドユーザーへ直接販売を行っており、周りからは異端児だとか毛色が違うなどと揶揄されたのだそう。でも成功している。さらにSNSでいろんな情報発信はすれど(ブログを書いたり、Facebookでも宣伝しているとのこと)、やっぱりお客さんにここへ来てもらって、五感でお茶を味わってもらうことが重要なのだという。その体験を口コミで色んな人に伝えてもらうことが、一番の宣伝になるのこと。IT化が進んでも、結局のところ人というのはアナログ的な生き物なのだ。それにこの農家さんはしきりに「面白そうだから」とか「夢はね・・・・」と言っておられ、なんだか心が少年のように感じられた。去年行った穂高養生園のご年配のオーナーの方も、チェックインをしている私に少年のような笑顔で「あそこに滝を作ったんだよ!」と話しかけてきたのを思い出す。

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眠気で意識が薄れゆく帰りのバスの中で、色んなことが頭に浮かんでは消えていった。あの農家さんみたいに、自分は何かに情熱をかけて取り組んでいるか?農家さんが”ここにしかない茶を作りたい”と言ったように、自分にしかできないことをできているのか?自分が茶の農家だったら、どうやって茶をエンドユーザーへ売るか?茶の木は普通に買えるから、いつかどこかに定住することを決めたら自分で茶を作ってみたい等。

さて2017年に中国茶の旅をした後「次は静岡へ行って、日本茶の旅をせなあかんな~」と言っていた通り、私はこれにて”日本茶の旅”を終了した。さらに来月には中国・プーアル茶の旅が待っている。そういえば昔、私が「中国茶が好きすぎて、中国まで茶を飲みに行った」と言ったら、ある友人が「すごいなぁ。本出せるんとちゃう?」と言っていたっけ。今は電子書籍で無料で本を出版することもできるから、いつか茶の旅っていう本を出そうかな。私の夢の一つは村上春樹みたいな文体で、沢木耕太郎のような面白い旅行記を書くことです。