蔵を改装したカフェへコーヒーを飲みに行く。花沢の里という場所があり、ここは江戸時代に出来た家屋がまだ残る小さな集落らしい。山を登るハイキングコースもあるようで、自然も楽しめる。
無料駐車場に車を止めて、そこから歩く。Google mapでカフェまでの時間を見たら、徒歩43分と表示されているのはなぜなんだろう。ゆるやかな坂の小道を上がって行く。車が来ないので大変静か。空気がひんやりとして澄んでいる。道の右側には小川が流れており、川のせせらぎがずっと聞こえる。遠くの大きな山と歴史ある家屋が風情のある風景を作り出し、こういうのを見ると『あぁ、日本はいいなぁ』と思う。
唐突ですが、ここは和歌が詠まれたところだそうです。
多分駐車場から43分も歩いていないと思うけれど、カントリーオーブンというカフェに到着。
蔵を開けてくれました。
あぁ、なんて素敵なんだろう!コーヒーとケーキでなんと500円。ネットでは”川のせせらぎを聞きながらのコーヒーは格別”とあったのだが、近くに食料を売りに来ているトラックが大音量で音楽を流している。その音楽は、火曜サスペンスなどで最後に犯人が崖に追い込まれて、説得されているうちに犯人が泣き崩れて、ドラマが終結に向かう場面を思い起こさせる。そういうのを思い浮かべていたらいつしかトラックはどこかへ走り去り、静けさが戻って来た。
蔵の中でコーヒーを飲みながら『外国人の友達をこういうところに連れてきたいなぁ』と思う。もし仲のいいシンガポール人女子が遊びに来てくれたら、どこに連れていくかを考えてみる。彼女は北海道、東京、京都、大阪へ行っているので、ここでは日本の普通の日常や自然を楽しんでもらいたい。普通に近所から見える富士山、わびさびが感じられる風景や自然、古民家や蔵を改装したカフェ、銭湯や温泉、居酒屋、漁港、こないだ行った寸又峡の夢の吊り橋・・・。どれも私が日常生活の一端として楽しんでいるものばかり。あと一緒に日本食を作ったりしてもいいなぁ。(私は関西人だから、やっぱりたこ焼きパーティーか)
日本語を勉強している外国人のホームステイを受け入れるなら、教科書で勉強している日本語が実際に使えるような旅程を作るかな。日本で体験してみたいことも聞いて。魅力的な旅程を作るのにはちょっとした自信があります。そういえば、シンガポール人が畳を試したいと昔言っていたなぁ。観光とは違う、日本の普通の暮らしを体験してみてほしい。
そろそろカフェを出て、お寺に参る。この散歩コースの終わりに法華寺がある。
法華寺と書かれた石を右に曲がり、上に登って行く。これは母乳が良く出るお寺だそう。日本には色んな効用(?)のお寺がある。
本堂は工事中で入れなかった。手間の仁王門で手を合わせる。『今年はこれ以上怪我(ヨガで手をひねって、整形外科に通院中)や病気になりませんように・・・』
戻ろうとすると、愚痴を聞いてくれるお地蔵さんを発見。よし!愚痴を言わしてもらおう!と思うも、お地蔵さんを前にすると、えーっと・・・何を愚痴ろうかな?とちょっと考えてしまう。「あのね、せっかく就職したのにすぐ辞めちゃって、人生うまくいきませんよ。それにね・・・ブツブツ」お地蔵さんは温かい笑みを浮かべたまま、何も言わずに愚痴を聞いてくださっている。後ろで本堂の工事の音が聞こえる。気が済んで「はー・・・でも頑張ります。ありがとうございました」と言ってここを去る。多分5分くらい愚痴ってたと思う。今度、誰かに愚痴りたくなって、誰も聞いてくれる人がいなかったらここに来よう。
帰りの道もまた風流。
色んな古民家を観察しながら歩く。『あ、こういう古民家に住みたい。ちょっとコンパクトで小さな庭もあるようなのがいい。二階に友達に泊まってもらったり、その部屋が空いている時は「和スパ」とかするのはどうだろう。「和カフェ」があるので和のスパがあってもいい。茶やヒノキの香りがするオイルを使って。一日三組限定にして(10時~、13時~、15時~)、トリートメント後は縁側で緑茶飲んでボーっとしてもらうとか・・・』私は実はアロマテラピースクールのアロマセラピスト養成コースを卒業しており、60分のボディトリートメントができるのです。でもフェイシャルとかフットとかもできた方がいいかな・・・色々と妄想が膨らむ。
下に降りた頃には陽が落ちかかり、すっかり寒くなっていた。無人販売のみかん(15個くらい入って、200円)をひとつ頂いて、駐車場に戻る。360度見渡す限りの山で、所々紅葉で色づき始めていた。