日本にいるからこそ🎐

日本人も知らない日本を知る

シンガポールから日本茶の産地へ

シンガポールに住んでいた間、飛行機で何時間もかけて色んな茶の産地へ行った。スリランカのセイロンティーで紅茶のおいしさに目覚め、次はダージリンティーを堪能しにインドへ。そして中国茶が好きになり、龍井茶(緑茶)の産地である杭州(浙江省)と鉄観音茶(烏龍茶)で有名な安渓(福建省)へ行った。『あぁ、日本茶の産地にも次はいかなあかんなぁ』と思っていたら、”そんなに茶が好きなら、はいどうぞ!”という感じでなぜか日本茶の産地に住むことになった。人生は分からないものです。私に茶をもっと知れということか・・・。

新しい住まいの窓から茶畑が見えて、大変目によい。

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しかもちょっと外に出るとこのように普通に富士山が見え、びっくりした。富士山は新幹線の移動から一瞬だけ見るか、ポストカード的なものでしか見たことがなかったので『あ、富士山ってちゃんと存在してたのか』と感心してしまった。しかも皆さん富士山を無視して普通に生活しているように私には見える。

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三年間のシンガポール生活を経て日本に帰ってくると、日本の何もかもが新鮮に映った。きっと私が今見たり感じたりしている日本は外国人の目線に近いと思われ、色んな事に一喜一憂しながら毎日を送っている。

まず日本の食べ物は格段においしい。また大変健康的。野菜や魚が多いしスパイスでどぎつく味をつけたりせずに、素材の味が極力感じられるように調理されている。シンガポールから東京に着いた日の夜、品川の小さな居酒屋で身の引き締まった刺身やキンメダイの煮つけ、レンコン焼き、揚げ出し豆腐などを食べた時の感動が忘れられない。色々な疲れが吹き飛んでしまった。それだけでなく、その辺のチェーン店の讃岐うどんや牛丼などありとあらゆるものがとても美味しく感じられる。(私は食べなかったが、シンガポールの牛丼はひどかったらしい。讃岐うどんもローカライズしてあるのか、あれは結構ひどかった)こないだまで中華系シンガポール人みたいに冷たいものをあまり飲まなかったが、牛丼をかきこんでいる時に湯を飲むのを止めてお冷に変えた。湯なんか飲んでいると熱いのでイチイチ時間がかかり、おいしいご飯を次々と口に運ぶことができなくて煩わしい。体に良くないとかどうでもいいから、早くおいしいものを口にかきこみたい!という欲求が勝った。

次に自然が多くて素晴らしい。シンガポールのコンクリートジャングルから、一気に緑が多くなった。目で緑を感じ、鼻でつつじの花や雨の香りを感じ、耳で鳥のさえずりや風でこすれ合う葉っぱの音などを感じる。そういう中にいると『あぁ、自然の中に生きてる!』と思う。シンガポールにいた頃の工事のやかましさはもうない。そして相対的に公共のマナーがよい。道で寝ているインド人もいないし、エレベーターや電車から人が降りる時は、みな降りる人をきちんと待ってから乗っている。(シンガポールだと待たずに乗ってくる人が多く、中国だと後ろから押された)みな周りの人に迷惑にならないように注意を払って行動している。

一方でがっかりしたり、窮屈だなぁと感じることもあった。東京で乗ったタクシーのクオリティがひどかった時に『日本に来れば、何もかも高品質で安心』と思い込んでいたが、そんなことはないのだと思い知った。日本で当たり前のことが当たり前でないシンガポール生活を送っていた中で、自分がある種日本に対して過度な期待を持ちすぎていたのだと改めて知る。窮屈なのは、外に出る時にある程度まともな格好や化粧をしないといけないと自分が思うところ。シンガポールだと訳の分からない格好でも誰も気にしないが、日本だとちょっとそうはいかない。常識のない人とか、ちょっと変な人みたいなくくりに入れられてしまう。

あとはサービスが丁寧で細かすぎて、気が狂いそうになったことくらいだろうか。配達してもらった家具に、ほんの少しの汚れがあることに配達員の方が気づいた。(私は気づかなかった)えらく謝られ取り替えると言って頂いたのだが、こんなちょっとの汚れなんか気にしてたら生きていけない!あと家具を組み立てる時にお兄ちゃんがフローリングに何かを落っことしてしまい、ちょっとした傷がついた。別に何も言われなければ誰も気づかない程度である。これもまた何度も平謝りされなぜか写真を撮って行き、お兄ちゃんが帰られた後にその会社からもすぐに謝りの電話が入るなど、色々な対応の大袈裟さにびっくりしてしまった。

(鯉のぼりを久々に見た)

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すばらしいしこれが日本の社会だけれど、私は昔このようなちまちました世界で色んなことを気にしながら生きていたのかと思うと、ちょっとしんどくなってしまった。レジを打つ店員さんがやたらとセカセカと動き回るのを見ても『何をそんなに慌てているだろう?もっとゆっくりやったらいいのに』と思ってしまう。シンガポールでは店員さんがのんびり袋に商品を詰めるのを、私はいつもじーっと見て気長に待っていた。こういう時はシンガポールの色んなことへの大らかさや、自由さが懐かしくなる。これから日本の社会に自分が溶け込んで行っても、そういう色んな物事への大らかさや鈍感さみたいなものは失わずにいたい。

なにはともあれ、やはり自分の国に帰ってくるとホッとする。三年前は気づかなかった日本の素晴らしさを感じながら、ゆっくり日本社会に適応していきますか。まずは温泉で疲れを癒してから。